2025年11月25日火曜日

現代的!ネガフィルムの色調補正法!

 はじめまして!フォトファンタジア(GCS-97写真部門)に所属することになったMametankと申します。

今回は対話型AI(画像生成AI)を用いたネガフィルムの色調補正について解説しようと思います。

フィルム写真を自分でデジタル化していると、どうしてもぶつかる壁があります。それは「強烈な色被り」や「色のねじれ」です。

特に数十年モノの古いネガフィルムでは退色や黄変などの劣化が進んでいることが多く、「肌色をきれいにすると髪が変な色になる」「髪を黒く締めると肌が不健康な色になる」といった現象が起きがちです。これはRGBのカーブが複雑にねじれているためで、手動のトーンカーブ調整だけで直すのは至難の業です。

最近はChatGPT/Geminiなどの対話型AIに画像をぶち込めば、色の被り程度であれば自然な色に修正してくれます。 しかし、これら生成AIには致命的な欠点があります。それは「元のデータとの整合性が失われてしまう」ことです(Photoshopのニューラルフィルターなどの画像修正に特化した有料ソフトレベルではそんなことはないかもしれませんが...)

・人物の表情が微妙に変わる

・文字が判別不能の模様になる

・フィルム特有の粒子感やレンズの質感が失われる

・元の写真と構図が変わってしまう

etc...

このように問題点を挙げるときりがありません。生成AIで作成した画像は元のスキャンデータに雰囲気だけ寄せた別物の画像、というよりもはや塗り絵です。これはスキャンデータの色調補正に使えるような代物ではありません。

そこで考えたのは、「AIに画像を作らせるが、画像そのものは使わない」手法です。AIで生成したデータは「色見本」としてだけ使うのです。たとえ色が転んでいたとしても、元のスキャンデータに色同士の相関的な情報が存在するため、完全な推定のみでモノクロフィルムに自動着色させるようなものよりは正確に色彩の生成をしてくれているだろうということが前提の手法にはなりますが...

以下で今回編み出した方法を解説したいと思います。

最初に注意点があります。私は専門的なことはともかく感覚的に、あくまでもゆるふわなスタンスです。本記事及びブログが原因でトラブルが発生したとしても私は一切責任を負いません。また、Photoshopのニューラルフィルターなどの有料ソフトであれば、このような面倒なことは行わずに投げ入れるだけで割と良い結果が得られるかもしれません。ここではあくまでGIMPやChatGPT/Geminiといったフリーで使用できるツールを用いた手法について解説しています。


【手順の概要】

  1. スキャン:ネガフィルムをスキャンします。ここでは一眼レフを用いて14bitRAWでスキャンしています。

  2. 前処理:適当なRAW現像ソフトでスキャンしたネガデータのトーンカーブを反転させ、ある程度でいいので補正しする。私のように乳剤側からスキャンしたデータは左右が反転しているので、これも反転しておき、最後に適当にトリミングもしておく。このデータをGIMPで扱えるように非圧縮TIFF等で保存しておく。また、AIに投げる用の画像もPNGなりJPGなりを保存しておく。


  3. AIに色出しを依頼する: GeminiやChatGPTにトーンカーブ補正した画像(どうせ入力時に圧縮されるからJPGでもなんでもいい)を投げ、「この画像はネガを反転処理して補正したものですが,色がまだ転んでいます。AIの力で自然な色調に補正して。」みたいな感じで指示します。ここで生成される画像は、ウォーターマークがついていようが、多少構図がずれようが、顔が変わっていようが、文字が読めなくなっていようが構いません。「色のバランスや雰囲気」さえ完璧ならOKです。


  4. GIMP(G'MIC)で「色だけ」移植する: フリーソフトのGIMPとプラグイン「G'MIC」を使用します。
    まず、GIMPで2.でトーンカーブ補正した画像を開き、さらに、画像生成AIで生成した画像をレイヤーとして開いておきます。
    次に、プラグイン「G'MIC」(各自で導入してね)を開きます。G'MICを導入すると、下の画像のようにファイルタブの一番下にG'MICの項目が現れます。
    すると以下のような画面になるので左の項目のcolorsを選択、さらにその中からTransfer Colors [Histogram]かTransfer Colors [Histogram]を選択・適用します。レイヤーの選択は下の画像の通りにしてください。
最終結果が以下になります。



通常、G'MICなどで色の移植(カラーマッチング)を行う場合、「似たような雰囲気の別の写真」を用意する必要がありますが、全く違う写真をソースにすると色が破綻します。 しかし、「同じ写真のAI修正版」であれば、構図がほぼ一致しているため肌の面積や服の色の割合などもほぼ同じになることから、割と正確な色の移植が可能になります。

画像生成AIをそのまま用いたときのような問題点は一切混入せず、元のフィルムの粒状感やレンズの描写はそのままで、色だけが蘇りました。

生成AIが吐いた画像は、各色情報も8bit程度に圧縮されていると思うので、元のデータにこの圧縮された色情報を適応するとどうなるのかなどはあまりよく分かりませんが、トーンジャンプなどはしていないように見えるのでうまいこと補間処理されているんだろうと思います。

締まりのない文章になりましたが今回はここまでになります。

ご拝読ありがとうございました。




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